2021年09月26日

オリンピックの爪痕

ついに1964年以来の東京オリンピック、パラリンピックが全て終了しました。
何を今更、などと言われそうですが、実は終わってない物もあるんです。

オリンピック、パラリンピックの開催日に、僕の工場から北に数キロ離れたところにある航空自衛隊 入間基地から飛び立った数機の飛行機。
ブルーインパルスです。僕は見ていないのでわかりませんが、入間基地を飛び立ったのは10機と聞きました
実際に演技飛行するのは6機であとの4機は控えの機体で少し離れた場所を旋回していたそうです。





ところが終わらない東京オリンピック
控えの飛行機が予定になかったと思われるカラースモークを低い高度で噴射してしまい、まずい事になってしまいました
ニュースにもなっています。


そしたら車検で預かったクルマがそのカラースモークの被害に遭ったとのことで、ついでに見てみました。

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こんな感じのつぶつぶが無数にあります。

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にじんでいますね

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サイズ感としてはこんなもの
しかし、白いボディだとまあ、わかりますな

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で、聞くところによると染料みたい...
僕らが自動車に使う塗料は顔料です。染料はその名の通りしみこんでみこんで染める物なので、繊維やキズにそって拡がり定着します。

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で、シンナーでは溶けず(当たり前か!)
強力な界面活性剤、つまりアルカリ洗剤でも取れず(当たり前かっ!)
コンパウンド掛けでやっと少し変わるかな?程度

結局、2000番のサンドペーパーをゴシゴシ掛けて。コンパウンドで磨いて、消える物と消えない物が残る感じ。
2000番だとかったるいので、1500番くらいなら早いかもしれないけど、塗装はめちゃめちゃ傷みますわな
車歴が古いと下地が出ちゃうかもしれません。

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結果、塗装をせずに全部消すことは不可能と言うのが僕の見立て
う〜ん、どうする自衛隊?

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2021年07月03日

塗装ってなんで高いの?

よく、塗装ってなんで高価なの?と言う質問を目にします。
ウチに限らずどんなシチュエーションでも。
どこそこは安かったなんて声も耳にしたりもします

塗装の料金は、材料、手間、設備から値段が上下します。
ここから先はその店主の考え方次第でずいぶん変わってきます

値段を優先しなければいけないボディショップ、仕上がりを優先しなければならないショップなどさまざま

ただ強いて言うなら店主のこだわりが強く影響します

僕は1996年にMPIをはじめるに当たって、これだけはやりたいと思う事がありました

そのひとつは塗装ブースです
自慢じゃありませんが800万くらいしました。死ぬ思いでリースの分割で払いました

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もうひとつはスタンドックスの塗料でした

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どれも大変に高価でした
すると自動的に仕上がりにこだわるようになります。

ドイツのSATA社製スプレーガン
それを使う為だけの専用エアホース

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マスキングペーパーも付き合う塗料販売店によって変わります。
その中でもいろいろ試したり、強版を聞いたりして選べる中ではベストな物を選びました

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副資材なんていいますが、ホコリを取るためのタッククロス、これも大きさやべとつき具合を見て常によりよい物に変えてきました

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シリコンリムーバーと呼ばれる脱脂剤もスタンドックス純正です

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しかし、このようにいろいろ拘るとどうしてもコスト高になるのです。
でもそのコスト高を経営者が容認するかしないかは、それこそ経営者のこだわりなのです。

このこだわりをヘンに持たなければ...
日本は環境にとても甘い国なので、塗装ブースなんか無くても塗装作業はできます。
スプレーガンもイワタの物で充分です。SATAの1/7くらいで買えます。その気になればネットを探せば数千円の物もゴロゴロしていますね。要は塗料が霧化すれば良いのですから

塗料は日々使う物なので、最もコストに差が出る物です
国産の安い1:10の塗料を使えば、費用を1/5くらいに圧縮できます。
しかも国産の塗料は1斗缶の16Lを買えば、脱脂剤は6倍近い差がでます。

マスキングペーパーも最も安いものは新聞紙です。読む事を目的にすれば事実上ゼロ円です

このように余計な事を考えなければ、めちゃくっちゃコストを圧縮できます。
板金修理は部品交換を伴う場合が多く、安くなると言っても部品代がかかってくるので、一定額より圧縮するのは難しいですが
塗装はその気になれば半分以下のコストにできます。なんでも良ければの話ですが。

この逆の意味での拘り、すなわちコストへの偏重が意外に強いのが中古車販売店です。
それはディーラー系だろうと独立系だろうと関係ありません。
販売する自動車をキレイに見せたいと思う心は皆同じです。
しかし、販売する車は、往々にして相場や販売価格が決まっている場合が多く、コストをかけられないのが実情だったりするのです。

でもですよ、このコストへのこだわりって何かに似ていると思いませんか?
ネット通販です。

以前、メルセデスの修理で相談を受けたときに、ネットで最安値の部品ばかりを話す人がいて、自動車を買うコストは止むを得ないが維持修理のコストは1円でも下げたいと....

ネットで安く安くを標榜して痛い目に遭った方、ひとりふたりじゃないと思いますよ〜

もちろん、高いからいい物でもありませんけどね。


そんなあなたにこの曲を贈ります


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2021年06月01日

塗装ゾンビ

ゾンビが塗装しているわけではありません、ゾンビと化した塗装膜のハナシです

ふるーいクルマの塗装で、何重にも堆積している旧塗装膜の問題です

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もうおおよそどれくらい塗られたかわからないような塗装膜の中に、不良な塗装膜が混在している場合があります。
それは硬化剤の量が間違えている、または全く入っていないなど不良塗装膜の存在
また昭和50年代にはふんだんに用いられたラッカー塗料など極端に脆弱な塗装膜の存在により上からの塗装が難しい場合があります。

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上からサフェーサーを塗装した図です

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リフティングとかチヂレと呼ばれる塗装膜のトラブルで、下地がいかに悪いかを示す指針でもあります。

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塗装膜が薄ければ剥離して再塗装ですが、このようなヒストリックカーなどと呼ばれるオールドタイマーの場合、下から何が出て来るか想像できないので、今の下地を生かして作業します

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画像がないのですが、ここに来るまで2回、同じサフェーサーを吹いています。
2度ともリフティングしました。
サフェーサーはいかなる物にも抜群の耐性を誇るエポキシ樹脂を用いたEPプライマーサフェーサーを使います。

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もはやサフェーサーの性能を信じて作業せざるを得ないので、やむを得ませんが、3度目でエポキシ樹脂が完全に抑え込んだようです。チェルノブイリの石棺のようです...

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そこで、さらなる強化と旧塗装膜との遮断性を確認する為に、2:1のノンストップサフェーサーを塗装した上から、カラーのベースコート、クリアーまで塗って不良塗装膜と衝突しないか様子を見ます

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サフェーサーを2度塗装して、セッティングインターバルを置いて、グレーのベースコート塗料を塗ります。

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さらにその上からクリアーを塗装して焼き付けます。
もし、この時点で下地の旧塗装膜をシールできていなければ、焼き付けた時にさきほどのリフティングが発生します。

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焼き付け後もこのように、美しい塗装面を湛えているので、これにて下地は完了となります。

よく、自動車の塗装は高すぎると言われるのを耳にしますが、そこには長く下地を作る努力があるからです。
なんでもいいのであればそれなりの塗装で、それにみあった金額の塗装を標ぼうすれば良いと思います。

でも本当に大事な唯一無比な愛車にはそうでない塗装をご希望であると、僕はそう信じています。
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2021年03月06日

アルファロメオミト ヘッドライトの曇り修理

世の中猫も杓子も曇ったヘッドライトのリフレッシュを売っています。
比較的簡単な作業ですごくリフレッシュ感のある、コスパの高い商品性で、ガソリンスタンドから用品店までもてはやされています

しかし、この方法は半年もするとだんだんもとに戻り、1年もしないうちに曇ってもとに戻ってしまいます。
僕も、材料屋さんが同行販売(メーカーの営業が材料屋さんや部品屋さんのルート担当セールスマンと一緒に来て実演販売すること)で様々なコーティング剤を見ましたが、みんな50歩100歩で、信頼性にかなり懐疑心をもっていました

しかし、スタンドックスのメーカー、アクサルタからライトリペア用の塗料が販売されていると聞き、買ってみて早、幾年月か...

やっと、今回やってみようと一念発起で作業しました。
やっぱり結構大変じゃん。大げさか...

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このライトも景気よく劣化しています

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だいたいこんな感じ。結構なヤレ具合ですが良いんです、むしろ判りやすくて

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先のリンクにもありましたクロマックスのライトリペアセット
立派なケースに入っています。

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マニュアルには180番からやれと書いてありますが、あまりに目が強すぎてキズが消えなくなる恐怖に慄き、400番からのスタートしました。言うところの根性なしです。
だって、ヘッドライト一つパーにして見なさいよ、結構な値段が飛んでいきますよ。

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その代わりかなりガッチリ研がないといけません。
完全に1枚膜を落とさないといけないのです。

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400番とはいえ、塗装の前段階で使う番手ではありません。予想通りかなり深いペーパー目が残ります。

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これを少し番手を上げて研いでいきます。この作業を目消しなんて言います。
600番はサフェーサーを研ぐ番手です

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それでもこの曇り具合。すべて400番のぺーパー目を消すようにしっかり研ぎます

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番手を上げていきます。
800番は塗装する表面の足付けをする番手です。

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あんまり変わらない?? いやこれでも600番の目を消しているのですよ

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1000番から2000番と上げていきます。
この間の1500番とかは使わないのですね。
1000番はおもに 
塗装する相手のクリアーのぼかし部分の足付けに使いますが、普段 僕は1500番を使うかな?
それくらい1000番って目が粗いんですよ。
2000番は塗装後にクリアー表面に噛みこんだブツなどを取るのに使う、いわば最終仕上げのサンドペーパーです。

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↓これが1000番

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↓これが2000番。判らない? そんなもんですよ(笑)

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場所を塗装室に移しまして、ケース部分をマスキングします。

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あんまりしっかりマスキングしません。見切りを出さないように気を付けてマスキングすればOKです

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脱脂剤で拭くとこの通りのキレイさ

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これが今回使用するリペアキットの中身。左からディグレーサー(脱脂剤)
プライマー
クリアー2缶

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まずは専用ディグレーサーで脱脂します。
プライマーはウオーターボーンなので、通常のではなく専用の脱脂剤を使わないといけません。

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アルコール系とおぼしきニオイ。脱脂した後は絶対に素手で触ってはいけません

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ではプライマーを塗装します。
その前に2分間、振って攪拌しろとありますのでがんばります

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シャカシャカシャカシャカ

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振りながら撮るのも容易ではありません

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塗装するのと撮影はできないので、塗装後の画像。
マニュアルにはミルク色に曇りますと書いてあります。その通り、こんな塩梅になりました

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しかし、乾くとかなり透明になりました。20℃40分のフラッシュオフタイムを置けと指示がありますのでかようにします。

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クリアーです。
缶の底にあるもう一つの栓を破って硬化剤が入り込む仕組みになっていて、1度使うと2度は使えません。
非常に不経済です。
今回左右2個を塗りましたが4-6個くらい塗れるのではないかと思います。
ただ、缶スプレーなので、使用温度が低いと出にくくなりますし、ながい時間噴射しても冷たくなって出にくくなってしまいそう。

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キャップについていた専用のアタッチメントを下側に挿して、おしつけると中の便が突き抜けて缶の中に入って行く仕組みです

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なので、当然これも2分間振り続けます。中のボールの音が聞こえるように振れと指示があります。

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振りあがりましたら、塗装してみましょう。

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2コート仕上げです。

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2度の塗装の膜厚で完成です。

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うーん、なかなか良いですよ。

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ただ、ほんの少し、白いモヤが見えます。おそらくカバーの内側ではないかと

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もしくは180番から作業しなかった怨念。

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焼きあがって、これくらいの仕上がりなら十分でしょう。

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これ、対外的にいくらで受注するべきなんだろう?
結構な手間ですぜ。

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少なくとも量販店やGSで見るような金額ではありませんぜ。
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2021年02月02日

軽でもトラックでもスタンドックス

この日、相方の塗装屋は休みでいないので、僕が全て作業します

この日はコマーシャルビーグル、すなわち商用車。
こういったクルマでもMPIにはスタンドックスしかないのでスタンドックスで塗装します。
今回はバックゲートの交換ですね

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新品のバックゲート

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一人だとこういった大型パネルを解包して塗装台に載せるのも一苦労です

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当たり前ですが塗料を準備するのも自分自身
まずはサフェーサー VOCノンストップサフェーサーです。
黒い電着塗装の新品パネルなら、下処理ナシで塗装できます

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下地はJET1000B

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しっかり塗装します。

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一度焼いたら、ひっくり返して裏面を塗装します。
これも一人だと結構大変

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それを焼いて、外に出してきて水研ぎ。
このクソ寒いのに水を使ってサンドペーパーで水で研ぎます。

かじかむ手をストーブで温めても震えながら調色します。
まー、バンなので気は楽ですが、そうで無い乗り物ならここでも気を付けて調色しないと
後で顔が青くなったりします

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既に塗装した裏面などをマスキングしたら脱脂して塗装になります。
さすがに裏面をマスキングしてひっくり返すのは一人ではできません。部品を配達に来た人や、だれかその時に来た人に手伝ってもらいます。

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ただの白、ソリッドカラーなんて言いますが、それはSATA JET4000HVLPが受け持ちますが
正直なところ、どうしてもこのガンの微粒化は好きになれません

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それでもしっかり塗装するとしっとり美肌(笑)

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仕上げはずっとJET3000。
果たして何年この座に鎮座しているのやら


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1回目のクリアー。
画像ではわかりませんが、それほど多くの塗料は載せません。

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2度目のクリアーは仕上げていくので、膜厚も高く、がっちり塗り込んでいきます。

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うーん、バンにはもったえない肉持ち感
クオリティはメルセデスの物と変わりません。

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塗装が終わったらクリアーの肌を確認して次の工程に入ります

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しっかり焼き付けて出来上がり。

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この後、当たり前ですが自分でガンを分解して、清掃するのでした。うーん、ほとんどやらせていたからなー
やはり一人で全部を賄うのはつらいっす。
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2020年03月25日

労働対価

最近取り上げましたヌヴォラの塗装
ありがたい事になかなかの反響です。
こちらやっとドアも交換して塗装も出来上がりました

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で、多くの場合、費用のお問合せです。
ここでまとめてお答えいたします。
まず、全塗装するといくら位かかりますか?という圧倒的に多い質問。
これはあまりに情報が少なすぎます
基本的に1台1台状態が違うので答えられません。僕の、私のクルマはキレイですからと言われてもだいたいどこかに瑕疵があります。瑕疵が無ければ全塗装しようとは思いません。
まず、下地から起こして作業が必要なのか? どんな下地を使うのか? 部品はあるのか?
列挙すると文字数も大きくなるので割愛します

もちろん中には新車を買ってすぐに全塗装する方もいますが、クリアーだけ塗装することも不可能だと思います。
某有名な方が、クルマを買ったらまずクリアーを全部に塗装すると言った方がおられたようですが、自動車の塗装も刻一刻と変わっています。最近のクルマなどは可能な限り少ない塗料で塗装されています。それゆえ、少しサンドペーパーをあてるだけで下地が出ます。

あと、上の内容に重複してしまいますが、高価ですか?という質問も多いです。
これも内容のない話で、何に対して高価なのかはっきりしません
突然高価ですか?と聞かれれば適正ですと答えざるを得ません

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作業は恐ろしいまでの小さなつまらない作業の積み重ねです。しかしその下積みがあってからトップコートが冴えます
また、塗装色や使う品物や材料、作業工程、車種によっても費用は違います。MPIは幸か不幸か国産の塗料に比べると高い外国製材料を大きな塗装施設と共に使っているので安くはできません
さらに車両保険を使うと最高の仕上がりになりますか?という質問もあります。これについても保険会社の用意する車両保険は約款に最高の出来上がりを約束するとはどこにも書いていない通り、標準的な仕上がりです。
ですから必ずしも保険金で満足できる結果とは言い切れません。
やはり、古くから本当に大事にしている愛車であれば、ご自身が思うベストな方法を考えればいいと思います。

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されど、全く指針となる数字を出さないのも良くないので、こんな感じだと思ってください。
費用の算出基準は必ずしも下記の通りではないことをお断りしておきます、ですが一つの尺度になることだけは確かです。

朝9時から3時間作業して、お昼ご飯を食べて午後3時間作業をしたとします。
僕の工場の時間当たりの単価は平均9000円なので、6時間X9000円=54000円だと考えてください。
それを分解から鈑金、修理、下地、塗装、組み立てまでに要した時間を想像してください。
20日間作業すれば.....です。純粋な工賃はこれだけ。あとは別途部品やガラスなどの脱着工賃がかかります
クルマが、というより塗装面積が大きければ? 逆に小さければ?

ヌヴォラのような3コートカラーは、普通の塗装色より1回多く塗るわけですから手間と時間が自動的に多くかかります。

どうです?なんとなくイメージできましたか? さて、この166、もうどれくらい作業しているでしょうか.....?
色替えなどほとんどの場合においてお断りするというより、される方が一般的です
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2020年03月09日

普段は引き受けないバイクの塗装

MPIでは普段、オートバイの部品の塗装を引き受ける事はまずありません。
以前一度作業してその大変さに、いや大変な割に結果がついてこない事に驚かされてから、引き受けないように、塗らないように心がけているのです。
しかし、今回は普段からお世話になっている向かいのキクチさんからのお願いで、頑張って作業します。

大量の部品を塗ります。キクチさんの発注は奥のハイエースのバンパースポイラーだけです。
あとは全て、キクチさんのカート仲間の方のバイクの部品です

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バイクの部品の塗装の難しさの一つに、塗装するまでの苦労があります。
塗装のセッティングにはめちゃくちゃ時間と手間とアイディアが必要なのです

なにしろ自動車と違って小さい部品が多い上、全面的に見える部分が多く、マスキングやセッティング方法が全く違います

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また、今回はありませんが、だいたいストライプなどが入ります。
そのストライプもライダーが上から左右とも同時に見れますから、完全な左右対称でないといけません
それがうまくできないと素人目にも出来が悪く見えます。しかもストライプが3本違う色だったり、重なっていたりすると地獄を見ます。

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今回も知恵を絞ってセッティングしました

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特に頭を悩ませたのは一番後ろのタンデムグリップです。これは完全に上下と言うか裏表がまるっきり見えてしまうので、セッティングも実に難しい

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その上、塗りにくいのです。ですから塗装技術者はアクロバティックな体制で塗装します。

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工夫の塊で塗装はされるのです。

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なんか陶器みたくなっちゃった。

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続きを読む
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2020年03月02日

ヌヴォラの塗装 その2

美しいヌヴォラの塗装の続きです。

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パールは4コートする為に結構な量の塗料が必要で、特にこのパールコートは94%が干渉イエローパールで、普段こんな量のイエローパールを使う事はなく、今回用意した2缶2Lを用意しましたが、それでも足らずもう1L注文しましたが、立て続けに注文した為に販売店の営業所に既に在庫はなく、他の営業所から宅急便で直送してもらう事になりました。
ちなみにこのパール、1缶1万円ほどします。

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パールは全部塗装したので、クリアーを塗装して出来上がりです。

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このスタンドックスのベーシスラックは、このグランドコートやパールコートの色彩にはハードナーが入っていない為にクリアーに入れるハードナーのイソシアネートに硬化反応させる仕組みです。つまりクリアーを塗装しないと完全硬化しないのです。

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クリアーを1度吹きました。スタンドックスのクリアーは全て2コート仕上げで、主剤つまりクリアーが100に対してハードナーが50%入ります。ハードナーにハイソリッドタイプを使う場合は3:1のシステムです。

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ここでは1コート。1度吹いたら5分くらい置いてもう一度塗装します

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2コート目に細かい部分もしっかりクリアーを入れて仕上げるスタイルなので、1回目は薄い目にスプレーします

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それでも十分美しいフィルムを形成します。長く美しい状態が末永く続くよう想いを込めて塗装します。

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2度目のスプレーでがっちりクリアーを載せて仕上げます

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スプレーが終わった後は72℃で23分焼きまして、マスキングをはがして先に塗ったフードとトランクとの出来を比べてみます

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特に問題なければ次のステップに進みます

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この時には次のステップに進めるつもりでしたが、じゃまする亡霊が現れて面倒な事になってしまうのです....

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2019年07月03日

塗装って大変なんです

その健康ですが、うちの塗装屋さん、肘を壊して痛い痛い言うもんですから、久しぶりに僕が仕上げ担当。
肉体労働者から肉体取ったらどうなんねん?とか思いますが、それは置いときましょう

車体を塗ってもらってクリアーが僕です。

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日焼けの補修ということありまして、長持ちするようにベースコートにもハードナーを入れました。

なんか画像がヘンな色になっちゃった

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もう25年以上前かな? デュポン(当時)のセンタリシリーズが発売されてベースコートには硬化剤を入れず、クリアーだけに入れる、国産塗料などほとんどが10:1で、ろくでもない塗料だった時代に、外資系塗料は実に先進的でした。しかし、そのセンタリが層間剥離と呼ばれるクリアーがはがれるトラブルが多く発生しました。その後時期に修正されましたが、作業なさった方々はさぞや苦労したと思います。

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そんな外資系塗料を自分が使うようになるとはつゆ知らず。

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気負いなくばばっと吹いたのですが、まあこの出来ならいいか?
でも僕はやっぱり塗装屋ではないかな?

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塗装屋さんには早く治ってもらいたいです。

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2019年06月09日

トヨタアクア(1F7)の塗装

 先日ご契約いただいたアクア

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ささっと直して(笑)塗装します。
今の車は良くできていて、本当に最小の損害で修理を終わらせることができます。
まるでこのようにぶつかる事を予見していたみたいに。

ブース内の温度は22℃ですが、湿度が高く実際には汗ばむ感じの気温です
そんな中で1F7を塗装します。

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湿度が高い場合は1ランク上のスピードのシンナーを使います

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しかし、夏用の遅乾シンナーばかりだと作業性が悪いので標準のシンナーも混ぜて使います

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交換した部品はそれぞれした色を入れて隠蔽力を助けます。
ちなみにフードは中古、両フェンダーは新品です。新品のフェンダーは下地のプライマーからウエットオンウエットでクリアーまで入れてあるのです

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塗装中や塗装前にはイオンシャワーで静電気を取ります。
70%以上も湿度があるのだからイラネーよ、と言わず使ってみるべきです。
メタリックの配列がよくなります

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ぼかし際のミストのなじみを抑えるカラーレスクリアーを使います。

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では塗装します。ウチの塗装屋が腕を壊したので、僕がほとんど吹きます。

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シルバーの塗装はなかなか難しいのですが、スプレーガンの進歩でずいぶん楽になりました

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シルバーのようなとまり(隠蔽の業界用語)が悪い色は下図のように1度目は縦方向、2度目は横方向という風に吹いていくと効率よくとまります

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下色を入れていたので割と労せず染まりました。

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ぼかし塗装ですから後ろに近いマスキングにはベースコートの色が乗りません

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しゃくれたプレス部分のミストコントロールもうまくいっています

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うまくいかない場合はもう一度カラーレスクリアを入れてひっくり返してもう一度トライします。

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隠蔽不足に注意して問題なければクリアーを入れます 

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キレイに仕上がりました。

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セオリーを守って、落ち着いて作業すればきれいなメタリック配列になります。

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アクアあたりの塗装は肌調整などほとんど必要なく、若干のツヤ引け具合が抜群に合います
多少のブツはありますが、ポリッシングを優先せず、大きなブツだけ取って終了です
組み付けたら、名義変更です。 

 

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2019年04月30日

ヌヴォラレッドの真実

ずいぶん前ですが、ヌヴォラレッドについてご相談の電話をいただいたことが事があります。
僕はあまり詳しくはありませんが、156を中心にGTVにもあったのかな?

Display

画像は借り物ですが

よくアルファレッドなどと呼ばれるカラーコード130と違いパールの輝きを加えた物で、いわゆるワインレッドとは一線を画すカラーで、強い変色性能を持つオーロラ、ヌヴォラブルー、ヌヴォラレッドのヌヴォラ3兄弟で、巷でウワサの3コート3兄弟です

でも、日本の3コートとちょっと違い、基本的に2コートで再現可能な塗装色ですが、塗装の隠蔽率促進が目的のためのグランドコート(1コート)のようです。

ですから、欧州車としては珍しく一般的に3コートパールで名の知れたヌヴォラブルーは、実は2コートパールでのフォーミュラが存在します。
で、そのヌヴォラレッドに至ってはオフィシャルな3コートの配合が存在しないのです

僕ら塗装技術者にとって、3コートであっても2コート仕上げであろうと塗装色の再現性がしっかりしていれば全く問題にならないワケでして
特に発色については塗料の性能によるところが大きく、再現できるものとできないものがあるのは、これは致し方がないものと考えていました。

ここで最初に書いた話に戻りますが
電話で相談いただいた方の訴えによりますと、退色だったかな?の理由でヌヴォラレッドの補修を依頼したら発色が全然違い困っていると
PPGのように3コートでないとこの塗装色の再現は難しいみたいだとの相談を受けました

さらにその時に塗装してもらったスタンドックスでは2コートの配合しかなく、それが原因ではないかと
僕がデータを調べた限りでは確かにその通りでした。
見たことがあるか、ないかのレベルで、塗装の配合の良い悪いを判断することなどできないので、その時はどういう風に電話を終わらせたか失念しましたが、それからずっと気にはなっていました

最近また違う方と思われる方からやはりヌヴォラレッドのご相談をうけて、今回その違いを追いかけました。

PPGジャパンとスタンドックスの親会社アクサルタのご厚意で、うまい具合にデータを解読し、近似色フォーミュラを作成することができました。
結果は意外なものでした

Img_5762  Img_5728

専用の記事を立ち上げましたので、ご覧ください

http://messiah208.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-a8b6c0.html

ご希望の方にはそれぞれの色見本を無料で差し上げます。ただし、部分補修や全塗装を検討中の方に限ります。
ご利用には車体番号の確認が必要になりますのでご注意ください。
mpi@mua.biglobe.ne.jp に色見本希望と明記の上メールください。

 

それ以外の方はいつものコメント欄か
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posted by admin at 00:05| Comment(3) | 塗装

2019年04月28日

メルセデスのバンパー塗装

 平成も残りわずかですが、むしろ昭和に近いメルセデスのリアバンパー修理。

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メルセデスは高級車の代名詞的なクルマです。高級車は殆ど間違いなく部品点数が多い特徴があります

この210も例に漏れずなかなかで、塗装の為に端から分解するのですが 結構手間がかかります。
手間がかかるという事は自動的に費用に跳ね返るワケで…  

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これでも124に比べれば簡素化されているのです
メルセデスのアイデンティティーの真ん中のモールは別な塗装色で塗られています

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傷やへこみを直したらサフェーサー吹きます。
サフェーサーはシステムフィラーをハイソリッドのハードナーで吹きます。これらはメルセデスの指定塗料です

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研いで塗装します

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帯も同じくね。

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メインのバンパーカバーはボディ色の744で塗装します。

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クリアーはクリスタルクリアー。ベースコートやハードナー、はては脱脂用のシリコンオフも含めてメルセデスの指定塗料です。
つまり、上から下まですべてメルセデスのメソッド通りなのです。

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帯の部分は別に塗ります。モール色は車種と車体色から数種類 色番号が出ますので 一番近い色を選んで調色して塗装します。

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メルセデスのバンパーやモールは何とも言えないつや消しで塗られているのです。
それはこのサテングロスクリアーと言う専用の商品で塗られていました。
過去形なのはこれも現行車で使わなくなった為、塗料も生産終了してしまいました。
便利な商品なので残念です。

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このクリアを使うと↓のように実にいい塩梅の 3分つやになってメルセデスの本来の仕上がりになります。

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ちなみに通常のグロスはこの通り。

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つやあり、なしの対比はこのような感じ。

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これを組んで車両に戻すとこのように

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なんともお上品な美しい仕上がりになるのです。

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このアテングロスクリアーはまだ数台分の塗料はありますが、もし補修を希望される方がいましたらお早めにご相談ください。
やがてなくなるか、使えなくなってしまいます。

 

posted by admin at 00:44| Comment(0) | 塗装

2019年04月18日

嗚呼3コート

このところ3コートパールばかり作業しています。
きっかけはこの166。オーロラカラーです

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まあ、まだ塗っちゃいないのですが・・・

3コートパールは国産車ではひどく当たり前な塗装技術で、かなり古くからあります。
70系のマークU後期3兄弟から始まったように思います。それまでは040のスーパーホワイトUや050のスーパーホワイトが大ヒットして、かつてディズニーランドの駐車場で同じ白の同じ車種が多くありすぎて、どれが自分のクルマかわからなくなるほどたくさんあったほどでした。

そのソリッドホワイトの後を継いだのが051のダイヤモンドホワイトでした、各社呼び名は違いますが、日産など各社追随し日本は一躍「3コート大国」になりました。

3コートパールと言うのは一番最初にカラーベースを塗装し、その上に透明な材料にパール顔料を混ぜた半透明な輝きのある塗料を塗装し、その上からクリアを塗装した3層構造の塗装です。

輸入車の3コートパールは殆ど存在せず、90年代初期から中頃アルピーヌでパールホワイトが、90年代後半にアルファロメオが採用したぐらいしか思い当たりません。かのメルセデスも2007年ころになってからだと思います。

ただ、先のイタフラのは、上のオーロラやヌヴォラカラーのように1色目はむしろ発色の為や、隠ぺい力をサポートする為に塗られていることが多いように思います。事実上の2コートパールで、必ずしも3コートパールの塗装色データが出てくるとは限りません

でも国産車では軽からファミリーミニバンまで、パールだらけです。

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実際の補修作業は手間がかかり、材料を多く使い値段も高額になりがちです。

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補修方法は独特の技術が必要で、補修中にトラブルを起こしやすいのも特徴でもあるのです。

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補修のドキュメントは下記で見れます

http://messiah208.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/3-1c79.html

今回はダイハツムーヴコンテ。低いオールに擦り付けた傷の補修だったのですが

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この内容で終わるハズ・・・・でしたが、塗装の最後にスプレーガンをぼかし側のフロントドアに接触させてしまい、塗り直しに。
クリアーの前の2ndコートだったのですが、結果

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フロントフェンダーまで補修内容が伸びてしまいました。

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これはぼかし部分を大きくとる3コートの弊害でありまして、決して珍しい事ではありません。

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ちなみに、時々問い合わせをいただくヌヴォラレッド。スタンドックスも他の塗料メーカーも2コートパールなのですが、本家PPGだけは
3コートでした。今回PPGジャパンさんのご厚意でフォーミュラをお教えて頂きました。
スタンドックスでも再現可能か検証してみます。

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3コートで塗ることが全てではなく、2コートでも発色が担保できれば僕はそれがベストだと思います。

posted by admin at 00:24| Comment(0) | 塗装

2019年03月22日

完全なものはない?


新しくなったブログのプラットフォーム、本当に使いづらいです。
長々と打ったブログを誤って消してしまい、失意のうちに書いています

自動車の塗装色で特に厄介なのが黒い色です。
特にパールもメタリックも一切入っていないソリッドの黒です。

もう少し赤くしたい、とか青くしたいとかっていうときに、例えば赤を入れると、黒くなくなってしまったり、基本的に調色が困難なのです。

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今回も画像からは分かりにくいのですが、色差があります。著書くしたいけど、黒くなくなってしまうので、原色を変えたり工夫しますが、基本的にブロック塗装にした際の、赤味や青味は変えることができません。
結局、ソリッドの黒い色でありながら、ぼかし塗装するしかありません。
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今回は登録からそれほど経っていない高級車の飛び石の修理ということもあり、何が何でもおかしな結果にすることはできません。

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黒い塗装には、いわゆる耐スリ傷クリアが使われていることが多いのですが、アルファはデータがスタンドックスにもなく
研いだ感じからは、わずかに硬い印象を残すにとどまったので、エクスプレスプレミアムクリアーにハードナー増し増しで塗装してみました。
また、クリアは硬ければよいというものではなく、硬いがゆえに瓦解してしまう場合もあるのですよ。
ポリッシングできずに・・・
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しまりもレベリングも良く、鏡のようで満足していますが、やはり微細なブツが入ります。
これはこれで、ポリッシング(磨き)で処理するのですが、黒い塗装は、そのポリッシングで発生するスクラッチやホログラムが大変に消しづらいのですよ。
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せっかく、美しい塗装なのに。残念。
理想は全く磨かない、ノンポリッシュです。
一つの塗装屋が目指す完成形ですが、まーず、そんなことはできません、たとえどんな立派な設備でも。
塗り直してもこればかりは改善するとは限らず、塗装屋殺しなのです。
posted by admin at 22:08| Comment(0) | 塗装

2019年03月14日

3コートパールの補修

補修中のアルファード

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国産車では本当に一般的な3コートパール。
一般的にはパール、パールと呼ばれる塗装色。

しかし、補修には大変に手間がかかり、費用も通常の塗装よりかなり高額になるのです

その名前から塗装の方法が容易に想像がつきますが、一応説明まで

塗装物に一番下のグランドカラーの白色を塗装し、その後、半透明なパールベースを塗装し、クリアーを塗装し、塗装膜を安定させる仕組み。

理論的には3色を塗装すればいいのですが、補修となるとそうはいかないのです

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真ん中のパールベースには、下地を隠蔽する力がなく、ニゴリ塗装と言う方法でぼかしていくのです。

まず、サフェーサーを隠す為に白いグランドカラーを塗装します。

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その上から隠蔽力を上げるために、グランドカラーにパールを混ぜた物を塗装するのですが、
パール3:グランド7の割合の塗料を塗って、次にそれぞれの割合がパールが4.5:グランドが5.5、7:3、9:1と、次第にパールベースが多くなるように塗っていきます。

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そうして、最後にパールだけの2ndコートを2-3回塗装して、カラーベースは終了となります。シルキーな塗色具合が何とも言えません

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つまりカラーベースだけで7-8回は塗装し、その後クリアーを塗装したりするのです。

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国産車など、補修する機会が多いのに、この塗装色を選ぶ傾向が強く、塗装が傷んだ時に塗装の相談を受けてびっくりするケースが多いのですね。

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日本以外には、例のヌヴォラのアルファロメオや、アルピーヌ、一部のアメ車などで見ることができますが、ドイツの自動車などは、ほとんどありません。

posted by admin at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 塗装

2019年03月11日

塗装の劣化を直します。

ご近所さんの中村さんのアルファードの修理を承りました。

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オーダーの内容は塗装のトラブルです
よく見ると

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ずるむけです。
塗装面からクリア層がはがれる層間剥離などと呼ばれるお肌のトラブルです。

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クリアーとベースの相性が悪かったか、硬化剤の量を守らなかったかでしょうか?
塗装膜強度が足らなくなるのは、上記のような原因もありますし、この3コートのようなベースの塗膜が厚い塗装ではよくある事です。
いかんせん、今回はこの剥離の修正なので、旧塗膜をめくっていきます。

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オーナーはそれほど高いレベルの仕上がりを望んでおらず、ある程度、下地がしっかりしていれば、シール性の高い、エポキシ系のプライマーサフェーサーで包んでいけるか模索しましたが、

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簡単に白い塗料が剥がれて、下から黒いツブツブ状の穴が発生します。黒い新品のパネルのカチオン電着のプライマー層と塗料の密着が悪く、はがれてしまうのです。

ダブルアクションサンダーのオービッドダイヤの跡が見えますね。

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結局、金属素地までめくってサフェーサーから塗り直すことになりました。

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結局、はっきり言えませんが、僕の読みはこうです。
新品のパネルの電着プライマーにしっかりした足付けをせず、塗装した。
3コートの厚いベースコートの塗装膜は、しっかり足付けされていない為に、通常の伸縮より大きく動き。
トップコートのクリアーは硬いので、上下の動きに差異が発生し、クリアと剥がれた
つまり、下地の作り方が間違えた、人災だと。

そんな風に考えます。
そもそも、新しいパネルにサフェーサーを塗布せず、いきなりベースコートを塗装すること自体感心しませんが。

最初はプツプツ、ブリスターができるのですが、やがて、そこに水が入り込み、層の間で剥離に速度を与えるのです。

こんなふうになる事が多い欧州車、お困りの方、ぜひ、ご相談ください

Dsc08520

MPIは鈑金塗装が本業ですからね(笑) お気軽にどうぞ

太文字直らなくなっちゃった

posted by admin at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 塗装