2021年08月12日

エクスクルーシブライン

先日、ヤフーオークションにとても貴重な商品が出ていたので思わず買ってしまいました。

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僕の記憶が正しければ、各国サーキットの地名を入れたエクスクルーシブライン
シルバーストーンブルー、モンッツアレッド、インディアナポリスグリーン
モンテカルロマジック、インテルラゴスファイアー、キャラミフラッシュの前か後かと言う販売順でした

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1999年か1998年の発売品です!
まさか実物を目にする事ができるとは!!
腸がねじれるほどうれしいですよ

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エクスクルーシブラインと言うだけあって値段もエクスクルーシブで、1L、つまり1缶3から5万円したような記憶があります。
特に日本の鈴鹿サーキットの名前が付くスズカサンは全く目にする事はできずスタンドックスの宇都宮トレーニングセンターにミニカーがあったかどうか

トレセンに立ち寄ったのももう2年前かあ

僕の工場にはインディアナポリスグリーンのダッジバイパーのミニカーがあるくらいです

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アルファロメオのヌヴォラブルーも写真には写らないのですが、ものすごい色味です。
売ってくださった方にも本当に感謝しております

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塗料を買うと一緒についてきたミニカーもいつの間にか普通に販売されていたり

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でももっと驚いたのは、出品者の方が僕のブログの読者さんだった事でした!
ありがたや、ありがたや
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2021年06月15日

スプレー神社

今、MPIでは3種類のクリアーを使っています。

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VOCプラチナ、VOCエクストラ、そしてエクスプレスクリアー
どれも大変に性能がよく、内容は大変に満足できるラインナップです。

しかし...
作業するのは機械ではなく人間です。
それゆえ、作業には常に何かしらのリスクが付いて回ります

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キレイでしょ? 頑張りましたから
今、作業中の日産ジューク・ニスモのフードです
特に最終仕上げのクリアー塗装は流れるか流れないかのギリギリの線で載せると、最も美しいと言われています
流すとは塗料が垂れてしずく状になる塗装のトラブルの業界用語です。

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それゆえ、限界まで載せます
今回はVOCエクストラクリアーです
最近主に使っている主力の商品です

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1度目は軽く、しかし2度目はがっちり載せます
夏場は温度が高いためにクリアーが大変にやわらかく流れやすいのです

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美しいですが、70℃で焼く際にさらに伸びて、結果流してしまう時があります。
1度流すとリカバリーにはなかなか大変なので、とにかく流したくない
かといって、肌が悪い状態で終わらす事はもっと嫌

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そのときに「あー、神様、流れませんように」なんて勝手に宙を拝むのです。
スプレーブースに神棚建てようか?なんて冗談とも本気とも言えない事つぶやいたりして

この塗装したフードをつけるだけではなく、これを車体に取り付けたら、左右のフェンダーと同時塗装して、色の違いをわからなくするのです。
だから今は下塗り。
あー、また、この胃の痛い作業を繰り返すのかあ....
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2021年04月22日

特殊な塗装

マセラティのドアミラー、汚れかと思ってこすったらぺりっとはがれてしまいました。
つや消しの塗装で、ざらざらした感じ、これをストラクチャペイントと言うのですが、それを再現sいないといけなくなりました

ドアミラーと言ってもベースの方
アルミ合金製のベース。そのままでは塗装してもすぐにはがれてしまいます。
そこで専用の下地を整えていきます

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はがれた付近はエッジを取って金属素地まで露出させます

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アドヘイシブプライマーを塗装します

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素地が透けていますが染める事が目的ではないのでこれでOK
ちょっと長めのフラッシュオフを置いて、ウエットオンウエットでサフェーサーを塗装します

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2:1のノンストップサフェーサーは先に吹いたプライマーで密着が担保され、安心して上に塗装膜を積み重ねていけます

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これも2-3回ほど吹いて、再びガンを洗います。
ちなみにこのような小さな物は下地用のイワタのワイダー100で塗装します

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小さいガンなので取り回しは楽ではありますが、プラモデル用みたい

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ここですでに2回目のガン洗浄
今度はプラスチック用の塗料です。
ストラクチャーファインです

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レディミックスのラリーブラックに1:1でストラクチャを混ぜて、VOCハードナー50%、シンナー20%
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これを2度ほど塗りますが、ガンの距離を通常より離し気味でドライに塗装します
再び長いフラッシュオフタイムを置いて
最後の塗装をします

この前の塗装で終わらせてもOKなのですが、雰囲気を強く出すために
黒を塗装します。
ここにも20%くらいのハードナーを混ぜます

それもドライに吹いたら
この通り!

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きれいなテクスチャーが出ました。

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これで純正の塗装そのものになるのです

都合4回スプレーガンを清掃しますが、どれ一つとして飛ばすことができないプロセスで純正そっくりになります。
というかおそらく純正も全く同じプロセス、下手すれば同じマテリアルかもしれません。

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2021年03月20日

ディープな塗料の世界

自動車にさまざまなブランドがあるとおり、塗料の世界にも多くのブランドが存在しています。
意外に知られていないブランドの数々を見てみます

スタンドックス

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僕らは古くからスタンドックスと関係が深く、長く使っていますが元はヘキストと呼ばれるドイツの化学薬品会社の一部門でした
今も一応ドイツの会社となるのかな??
後にアメリカの大資本、デュポンに買収されてしまいます
古いGTVのカラーコードラベルで、ハーバーツの文字が見えますが、スタンドックスのことです

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現在は塗料としてのデュポン センタリは存在せず、スタンドックスと同じグループ内でクロマックスというブランド名になりました
後述のシッケンズと共に古くから日本の外資系自動車補修塗料の古参です

その後さらに塗料ブランドのデュポンごと身売りされてしまい、投資会社カーライルグループを数年暖められてから現在のアクサルタになった背景があります。
ちなみに、スタンドックスは他にスピスヘッカーと呼ばれるブランドも国によって提供しています。

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おそらく世界の自動車メーカーでのOEM塗料としては最大なのではないかと思います。
そのアクサルタの中でも最高品位塗料に位置するのがスタンドックスです

RM
日本を始めアジアで展開しているイメージのあるRM ダイヤモントと呼ばれシリーズの塗料をラインナップしています

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RMの商品を知らなくても同じグループ内にあるグラスリッドの名はご存知の方も多いのではないでしょうか?

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フェラーリの純正塗料でもおなじみのグラスリッドです。
テスタロッサの物です。

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かつては錦糸町の小さな塗料販売会社で輸入されていたのですが、2000年前後に消滅してしまいました。
親会社はやはりドイツの化学薬品会社BASFです
美しい赤色の発色は並べてしまえばスタンドックスより上だと思います。



シッケンズ
おそらく日本における外資系塗料のさきがけと言えば、このシッケンズではないでしょうか?

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当時すごくデザインコンシャスなミキサーで一世を風靡した、かつて日本での外資系高級塗料の名をほしいままにした塗料です
このメーカーの3:1のサフェーサーは超ハイビルドで昔、良く使ったなー
オランダの化学薬品会社アクゾノーベルと言う会社が親会社です


2018年9月13のブログになんとなく書いてあります。
最近はあまりその名を聞く事がなくなりました。
日本のボディショップの勢力図がずいぶん変わったからかなー?


PPG

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アメリカはピッツバーグの化学会社で、自動車のウインドウガラスで有名です。
ちなみにピッツバーグ・プレート・ガラスの略です。

このメーカーのデルトロンと言う塗料は日本ではあまりなじみはありませんが
ヨーロッパでは人気のある塗料です。

やフェラーリをはじめ、様々なクルマに使われています。
メタリックの美しいイメージがあります。
ランチアテーマなど90年代のランチア、アルファロメオでよく見かけるように思います。

画像は155のペイントラベルです

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各社、特徴のある商品群で勝負しています。
でももちろん、外資系塗料なので、基本的にそれなりのお値段をすることを忘れてはなりません。

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2020年08月05日

スタンドックス

世の中にはたくさんの塗料メーカーがあります。
日本では日本ペイントがリーディングカンパニーで、他に関西ペイント、イサム塗料、ロックペイントなどがあります。
読者の皆さんも1度くらいは聞いた事がある名前もあるかもしれません。

やはり日本の風土気候にあっていて、何と言っても国内の業界の使い方にあったラインナップで出ています。
それは日本の環境や商慣習、法規にうまく溶け込んでいます。

日本の塗料メーカーは、予てより建築用材料も併売しており、いや寧ろそっちの方がメインでオートモーティブの方が片手間的なポジションでした。それゆえあまり環境性能や品質より、使いやすさや経済性が優先され主剤に対して10%しか硬化剤の入らない、環境を考えない塗料が多く売られていました。2000年に入る頃から徐々に10:1塗料の販売を控えて、今は4:1などが主流なようですね。

一方、僕の使うスタンドックスは記憶が正しければ、1993年頃に日本に上陸したように思います。
日本の塗料に対して、海外の塗料は各国の法規をクリアしなければならないので、性能面や環境面でも日本の塗料とは比較にならない高品質でした。クリアーは大変硬く、過剰なまでのつやがあり、当時のW124や140のようなメルセデスのような高級車の塗装にぴったりくる品質でした。

僕は95年ごろから以前勤めていた会社で使い始めました。
デモンストレーションを見て、ひとめぼれして社長に稟議書を書いて導入してもらったのをよく覚えています。
それまで使っていたロックペイントの塗料を文字通りかなぐり捨てて、ごっそり乗り換えたのです。
極端なハナシ、この塗料に出会わなければ今のMPIを作ることはなかったでしょう。

余談ですが、僕はそれまで使っていたものをごっそり丸ごと変えることは滅多にしないコンサバ寄りなのですが、少ないながらにごっそり変えたことがあります。それが塗料とオイルのリキモリです。

スタンドックスの仕上がりは大変美しいのですが、しかしいつもうまく行くわけではなく 時にはうまく行かず、時にはM&Aに巻き込まれ希望する商品が無くなったり、紆余曲折はありましたが、ついに使い続けて25年経ったわけです
当時最先端だったBasislackと呼ばれるラインも25年も経つとさすがにオールドファッションにはなってきましたが...

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既に環境型塗料のStandblueと言う水性塗料が発売されて久しいですが、僕はこのミディアムソリッドやハイソリッドのシステムが一番使いやすいです。

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決して安い塗料ではありませんが、フェラーリだろうが軽自動車だろうが、これで塗ります。
25年も使い続ければもはや体の一部です。
商品レンジも今は比較的広いので楽になりました。

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海外では、塗装ブースの無い所での塗装作業は犯罪で塗装ブースの導入が義務付けられています。
日本のようにビニール製の簡易塗装室の中で合法的に塗装できる国は限られています。少なくとも中国でも韓国でも塗装室の無い場所での塗装は犯罪です。ましてや先進国で塗装室以外で塗装している国はありません。
それゆえ、海外では塗装室で塗装することが前提の塗料なので使うエア圧力が高く、マスキングする場所も大きくなり材料を多く使うことになります。
そうでなくても単価の高い塗料なのに、副資材まで多く使うところから、不景気な今日の業界にあっては外資系塗料を使うお店も減ってしまいました。
でも、自分が好きでこだわり続けている塗料なので、きっと自動車を大切にする人にはこの塗料の良さがわかってもらえると思います。

スタンドックスのHP

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2020年07月06日

劣化したヘッドライトレンズに塗るサイコーの塗料

ポリカーボネートを使ったプラスチックレンズのヘッドライトは紫外線による劣化との歴史でもあると言っても過言ではありません。
と言うより、今やほとんどの人が黄化、白化、クリアハゲなどを少なからず経験していると思います。
今回はその対策に最適ではなく、最高のソリュージョンをご紹介いたします。

つまりライトにペーパー当てるんでしょ?
はいその通りです。

本日やってきた箱は僕の使うスタンドックスの親元のアクサルタコーティングスの他ブランド、クロマックスの製品です。

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恐ろしいまでにりっぱなハコに入っています。
商品名は何とも判り易い物

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中を開けるとゴージャスなスプレーセット。
そうなんと、缶スプレーなんですね。

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ディグレイサーとプライマー

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そしてクリアー2本と言う構成。

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クリアーはなんと2液混合タイプで、お尻のシャフトを打ち込んで中で硬化剤が混ざる仕組みです。
逆を言えば一度開封すれば使う使わない関係なくイソシアネートによるウレタン結合が始まり、簡単に言えば硬化してしまうのです。
つまり一度使い始めたら使い切るか、残るか関係なくこの1本は使えなくなるのです。
これが最適ではなく最高と書いた所以です。

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そして、プロセスは以下の通り
なんと180番のグリッドから始めます。尤も機械研ぎ前提で、ミルカのアブラロンと言う商品の指定まであります。
一時期日本でもミルカの商品は展開していましたが、今はどうかな?
欧米ではトップセラーだと思います。

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いやあ、まずバンパーを外してヘッドライトを外してからの作業前提です。
そして180番から2000番までのプロセスをヘッドライト全体に施し
プライマーを塗って乾かし、やっとクリアーを塗装する。
サンディングのプロセス中はずっと、ディグレイサーで脱脂すると書いてあります。

この塗料セットで何台分かわかりませんが、少なくとも一度クリアーの硬化剤を混ぜてしまえば10時間程度しかポットライフはないでしょうから、外しておいてもいいところ2台分でしょう
缶スプレーは気温によって出具合が変わりますから、最初から最後まで完全に使い切れるとは思えませんので。

この塗料セット1つが確か15000円くらい。
フロントバンパーの脱着
ヘッドライトASSYの脱着
ヘッドライトの清掃
サンディング180番
サンディング320番
サンディング600番
サンディング800番
サンディング1000番
サンディング2000番。
ヘッドライトをマスキング
クリアーを塗装。
強制乾燥はさせず、一晩おきます。
ヘッドライトの組み付け
フロントバンパーの組み付け

出来上がり。
何度も言いますが、1回の作業でこの塗料セットの殆どを使い切ります。

ね? こりゃ、最適じゃなくて最高に高額なヘッドライト処理でしょ?
どうしてもヘッドライトがきれいでないと気が済まない、こだわり満載のクルマで施工を希望の方
お待ちしております(笑)

近いうちに、ウチの147のヘッドライトに施工してみようと思います。

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2020年02月28日

デカいホイールの修理

うう、いろいろな仕事が遅くなってマズいのです。
うんと前に預かったフェラーリ456MGTA
オーダーの1つにホイールのリペアと言うか色替えです

ホイールを塗り替えるには今の塗装を剥離しないと塗れないほど何回か塗装しているので、今回は剥離作業から始めます
まずはタイヤ館入間デタイヤを外してもらってホイールだけにしますが、デカイのなんの

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お客さんのライフに装着(笑)

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ハコを作ってサンドブラストに出します。1/25の話です。
サンドブラストは江戸川区にあるブラストの老舗、日本ブラスト加工研究所に送ります。
ハコを作るだけでも時間がかかりました

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それがついに先日ブラストから帰ってきました。行きは西濃運輸、帰りはヤマト便
圧倒的な西濃のコスパ!

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どれどれ

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元の粉体塗装とおぼしき完全な下地はなかなか取れないそうです。

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必要に応じてプライマーを入れてパテで成形します

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ちなみにズンドーの部分までブラストされています。

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色見本はこんな感じです。黒いベースにシルバーを塗装する3コート仕上げ

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そこに至るまでは長い道のり。なにしろブラストでバチバチにはがされてしまっていますから、下地作りから。
ホイール屋さんではこの「下」から作るのができないので、ここだけMPIさんでやってと言うことです

アルミ素地に直接塗料を塗ることはできないのでまずはプライマー。
これは密着を促進するエッチングプライマーです。
次元の違う密着力を発揮します。

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続いてハイビルドの4:1のシステムフィラーを塗装します。

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なんだかヘンなカッコの人が映っています。いやこれ塗装物が低いからですよ

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がっちり焼きます。なにしろ巨大な335/30-20なるタイヤの話とは思えない大タイヤを飲み込みますから
出来が悪いと剥がれてしまうのです
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今日はここまで。この後、軽くキズを拾ってもう一度サフェーサーを入れて、研磨したらその大タイヤをスポーンと入れます。
このホイール、高くつくわ〜
posted by admin at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 塗料