2020年09月23日

そこに愛はあるんか?

集中連載中のテーマ832。
テーマ832とて、一度でも中古車屋の手に落ちると、ひどい扱いをされるケースが殆どです。
このクルマも今のオーナーさんの許に来るまでの9年間にはおそらく、そんな目に遭ったのだろうと思われるフシがちらほら

とかく僕らを悩ますのはその後の処理です。
フェンダーマーカーすらマスキングして塗った跡があります。

RIMG1416.JPG

誰がやったか知りませんが、このまま塗装するわけにはいきません。
うーん、このクルマ、すべてマスキングで塗装されています。
ドアハンドルもモールも全部全部。

RIMG1417.JPG

販売店や案外、普通の修理屋でも経済性を優先するあまり、マスキングで塗れと下請けの鈑金屋に出します。
鈑金屋は元受けから言われた通りの作業をします。
販売店は、ちょっとくたびれた中古車がきれいになったのだからと、正義感でいっぱいです。
自分の犯した罪深さなど微塵も感じません。そりゃあ、悪い事をしたなんて思っていなくて、良い事をしたと思っているので当然です。
クルマを知らないというのは恐ろしい事で、後々、エンドユーザーがかぶることになるのです。
いや、僕らのような塗装業者がかぶると言う方が正しいかも。

僕らの鈑金塗装業界は一般的にスキルが高い人が潜在的に多いのですが、昔からの下請け感覚が抜けず販売店やディーラー、整備工場に飼い殺しにされているところも少なくありません。
やはり、ユーザーが何を求め、どんな結果を希望しているかを知る術は、本人と話すこと以外にありません。
手間がかかれば、費用はかかる、これは当然の真理です
「安く早く丁寧に」なんて言っている修理工場は全て間違えた認識だと思います。
手作業である以上、そんな事はあり得ません。

RIMG1434.JPG

今回のテーマの場合、一番難しいのはこのストライプです。
832だけが持つアイデンティティで、これをむやみに新しくするのは、あまりお勧めできません。
これこそが、製造のラインオフ時に引かれていた物で、このクルマの味です。
可能な限り生かしていきたい。と言うより僕らでこういったストライプを作るのはできないかもしれません。

それは、このストライプの持つ風合いです。
よくアメリカのクルマなどでピンストライプがありますが、あれって基本的にフリーハンドだったりするんです。
このクルマのストライプも、テープではなくて塗装で線を引いているので、ひょっとしたらストライプ職人が引いたラインかもしれません。
それをおいそれと書き直してしまうとロクな結果になりません。
このように...

無題 (1).png

ああ、おそろしい....
posted by admin at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ランチア
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/187947273

この記事へのトラックバック