さて、預かる時にライトの雨漏りを訴えているので、原因を追います。
ヘッドライトに水滴が多くあると車検に通りません。もちろん、「オレのクルマも漏るけど、車検の前に拭いておけば全然平気だぜ」と言う方もおられるとは思いますが、どうぞ皆さまに合った方法で気の済むようにやってください。
方法はいたって簡単。
じゃーじゃー水をかければいいのですが、水の侵入は、意外にいろいろな方向からでないと再現性が難しい場合があります。
また、再現出来たとしても流入経路の判断が付きにくかったりもします。論より証拠でとりあえず、ぶっかけてみましょう
景気よくやります。まずは裏面
さらには表面。ライトのシーリングはなかなかうまくできていて正常なものならこの程度では水漏れはしません。
しばらく放水して一定量の浸水が見られます。どこかに必ず穴かクラックが開いているはずです。
この手でよくあるのが事故歴です。衝突した際に修理を担当した人がひびを見落とし浸水ケース。
しかし、分解の途中、事故の形跡は全く見えませんでしたので、この線はハイ消えた。
続いて怪しそうなところに石鹸水をかけて、中から圧縮エアで穴を探します。ピンホールでもあれば必ず浸水します。またシーリングの剥離などでも穴があればあぶくがたくさんぶわぶわ出てきます。
ところがどこをどれだけ吹いても一向にあぶくが出ません。全くです。
しかし石鹸水を洗い流すと少し濁った水が浸入してきます。今洗い流した水が浸入している模様ですね
確実に穴があるはずなのに何回やっても何故かあぶくは出ません
エアを入れる位置を変えますが変わりません
怪しいところを変えてやってみますが一向に変わりません
ちなみにValeo製のライトです、銀色に見えるのはHIDのアンプです。バラストはこの程度の水濡れはぜんぜん平気ですが、社外のバラストは全く信用できません。ハロゲンからHIDにコンバートする場合は、国産や一部信頼性の高い部品でないと水をじゃーじゃーかけると壊れます。
と、その時見つけてしまったのです。
犯人はコイツだ〜! 確保!!
長い時間水分に晒されるとメッキ部品がダメになります。
今回は残念ながら交換と相成りました。でもなんで穴があったのでしょう? 事故? 経年変化?
でも、穴を見るとどうも人的な加工跡のように見えます
改めてユーザーに話を伺ってみると、X100型にはレンズ内に結露が発生するために穴開け加工が必要だと言われたと。その加工はしてあるとの情報はあったと
でもこんなところに穴などあければ無加工であればどんどん水が入るのは明白。何か情報を鵜呑みにしたか? まー、ネットの文化が進んでいるので分からないでもないけど。
一方、この話を探ると、確かに古いモデルの一部では加工したあと、ちょっとした潜望鏡のような形の部品を付ける時期があったと判明しました
しかしそれはX39〜までのモデルでこのクルマはX42〜なのでそれにも該当しない。つまり間違えた情報を元に加工してしまったようです。
ヘッドライトの中身はかなりな高温になり外気温との差などで結露する場合もありますが、多くのヘッドライトには湿気を抜くためのホースがライトの上向きについていたりします。
温まったライト内の空気は上昇気流となってそれらのチューブから勝手に抜けていきます。
ちなみに空冷のビートルなどは水冷ではない為に温まった冷却水をヒーターに回すことが出来ない為に、エンジン排気熱で温めた空気を足元に出す仕組みですが、モーターファンなど使わず、温かい空気が上に行こうとする力だけで足元を温める仕組みになっています。